障がい者グループホームへの引越し手続き【住民票編】
障がい者グループホームへ引っ越すときに「住民票はどうすればいいのだろう?」と気になったことはありませんか?
これまで実家などで生活されていた方の場合、「住民票ってほんとに移さなきゃいけないの?」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、「障がい者グループホームへ引っ越すときの住民票の手続き」についてお伝えします。
目次
法律上の観点から「住民票」は必ずグループホームの居住地に移す
先に結論から申し上げますと、障がい者グループホームに入居した場合、「住民票」は転居先のグループホームへ移さなくてはなりません。
これは一般の賃貸物件と同じで、引っ越しの際は「住民基本台帳法」に基づき、転入・転出の届け出を行う必要があります。
災害やご家庭に何らかの事情がある場合を除き、転居から14日以内に「転出・転入届」もしくは「転居届」を自治体の役所へ届け出を行います。
ここでは、「転入・転出届」の提出を義務付けている「住民基本台帳法」の条文を確認します。
住民の転入・転出届の提出を義務付ける「住民基本台帳法」
【住民基本台帳法 第3条3項】
【住民基本台帳法 第22条】
第二十二条 転入をした者は、転入をした日から十四日以内に、次に掲げる事項を市町村長に届け出なければならない。
一 氏名
二 住所
三 転入をした年月日
四 従前の住所
五 世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
六 転入前の住民票コード
七 国外から転入をした者その他政令で定める者については、前各号に掲げる事項のほか政令で定める事項
【住民基本台帳法 第52条2項】
出典:e-GOV(電子政府) 法令検索 住民基本台帳法より引用
住民基本台帳法では、このように定められており、故意に住民票を異動しない場合は法令違反となり、罰則として5万円以下の過料に処される可能性があります。
そのため、法令順守の観点から、障がい者グループホームへ入居する際は、かならず住民票も移すようにしましょう。
現住所と異なる市区町村のグループホームに入居する場合は「転入届・転出届」、現住所と同じ市区町村のグループホームに入居する場合は「転居届」を提出します。
なお、大阪市内在住の方で、現在の区から他の区へ異動される場合は、「転出届」は不要となります。
引っ越し先の障がい者グループホームが所在する区役所の窓口で「転入届」を提出してください。
※たとえば「大阪市都島区」から「大阪市城東区」のグループホームへ入居する場合は、転入先の城東区役所に「転入届」を提出する。都島区役所での手続きは不要。
「吹田市」から「大阪市城東区」のグループホームへ入居する場合は、「転出届」を吹田市役所に提出し、城東区役所へ「転入届」を提出する。
障がい者グループホーム入居の際に住民票を移すメリット
つづいて障がい者グループホーム入居の際に、住民票を移したときのメリットについて見ていきましょう。
住民票を移すことによるメリットは、
②自治体での障がい者サービスが受けやすくなる
の2点になります。
①住民税非課税世帯となり公的支援が受けやすい
障がい者グループホームへ単身入居し、住民票をグループホームの所在する自治体へ移すと、ご家族と世帯を分離することができます。
これまでご実家などで生活されていた方が住民票の異動を行うと、障がい者本人の単身世帯として認められることになります。
グループホームに入居される方の多くは、前年度の合計所得が「135万円」以下(給与年収で「204万4千円」以下)となる場合がほとんどですので、「住民税(市町村民税)非課税世帯」に該当することになります。
住民税非課税世帯となると、低所得者向けのサービスや障がい支援を受けやすくなるメリットがあります。
たとえば、障がい者グループホームを利用する際の補助制度として、「特定障害者特別給付費」というものがあります。
これは通称「補足給付」と呼ばれる制度で、グループホームの家賃補助として、毎月1万円までを利用者に代わって国が負担する制度となります。
グループホームの家賃補助の制度を利用できるのは、「住民税非課税世帯」もしくは「生活保護」の方のみとなっており、毎月のグループホーム費用が抑えられるため、ぜひ活用したい制度です。
世帯分離により「住民税非課税世帯」となることで受けられる低所得者向けの支援やサービスは他にもあります。
公的支援を受けやすくなり、障がい当事者の負担が減るという意味で、住民票の異動による世帯の分離には大きなメリットがあります。
②自治体での障がい者サービスが受けやすくなる
障がい者グループホームへ転居した場合、これまでお住まいの地域とは異なる自治体で生活するケースも少なくありません。
障がい者サービスによっては、居住している自治体ごとに認可を受ける必要のあるサービスもあり、実際の居住地(グループホーム)と住民票上の居住地が異なる場合、役所等の手続きがスムーズに進まないケースがあります。
たとえば、以前のコラム記事(「大阪市の生活支援型食事サービス事業とは? 城東区・旭区の配食事業者まとめ」)でご紹介した「大阪市の生活支援型食事サービス事業」で配食サービスの割引手当を受ける場合、相談窓口は転居先のグループホームが所在する自治体となります。
こうしたときに住民票上の住所と、実際に暮らしている住所が食い違っている場合、役所側から指摘が入ることが予想され、制度を利用できない可能性があります。
住民票の異動手続きをきちんと済ませておくと、自治体での障がい者サービスを受ける際にスムーズに進められますので、忘れずに役所で手続きを行いましょう。
住民票を異動する手続き方法について
では、実際に住民票を異動する手続き方法を確認していきましょう。
今回は、大阪市内・市外から障がい者グループホーム「レフィナ」のある城東区・旭区へ引っ越しするケースをシュミレーションしてみます。
大阪市内・市外からグループホームへ引っ越しする際の手続きには3パターンがあります。
②大阪市内から大阪市内(同一区内)グループホームへの引っ越し
③大阪市外から大阪市内グループホームへの引っ越し
それぞれに手続き方法や必要な書類が異なりますので、「レフィナ」へお引越しの際は、チェックしてみてください。
①大阪市内から大阪市内(他区)グループホームへの引っ越し
届け出の種類 | 転入届のみ(※転出届は不要) |
届け出先 | 引っ越し先の区役所窓口 |
届け出期限 | 引っ越し当日から14日以内 |
用意するもの | 本人確認書類(マイナンバーカード、健康保険証、運転免許証、パスポート)、年金手帳(国民年金第一号被保険者のみ)、印鑑、筆記用具 |
「大阪市内から大阪市内(他区)」のグループホームへ引っ越すパターンでは「転入届」のみを新しい引っ越し先の区役所窓口に提出します。
大阪市内から市内の他の区への引っ越しの場合は、前の居住先に「転出届」を提出する必要はありません。
たとえば中央区から城東区へ引っ越しする場合、引っ越し先の城東区役所で手続きするだけでOK。
持ち物は、本人確認書類として「マイナンバーカード、健康保険証、運転免許証、パスポート」などが必要です。
「マイナンバーカード」の提出を求められた場合、暗証番号の入力が必要になるため、忘れずに控えておくことをおすすめします。
役所の書類手続きとなりますので、念のため、印鑑や筆記用具(ボールペン)などを持参しましょう。
また年金手帳が必要になるケース(国民年金第一号被保険者、マイナンバーと基礎年金番号が結び付けられていない方)もありますので、持参しておくと安心です。
②大阪市内から大阪市内(同一区内)グループホームへの引っ越し
届け出の種類 | 転居届のみ(※転入・転出届は不要) |
届け出先 | お住まいの区役所窓口 |
届け出期限 | 引っ越し当日から14日以内 |
用意するもの | 本人確認書類(マイナンバーカード、健康保険証、運転免許証、パスポート)、国民健康保険証(お持ちの方のみ)、印鑑、筆記用具 |
次に「大阪市内から大阪市内(同一区内)」のグループホームに引っ越した場合です。
たとえば、旭区にお住まいの方が旭区のグループホームに入居される、城東区にお住まいの方が城東区のグループホームに入居されるパターンです。
この場合の届け出書類は「転居届」のみとなります。普段からお住まいの区役所にて「転居届」をご提出ください。
窓口での提出にあたって用意するものは、本人確認書類、印鑑、筆記用具となります。
また国民健康保険証をお持ちであれば、提出が求められるため、持参するようにしましょう。
大阪市内の同一区内の引っ越しでは、「転居届」を使用しますので、「転入届」と間違えないようにご注意ください。「転出届」も不要となります。
③大阪市外から大阪市内グループホームへの引っ越し
届け出の種類 | 転出届・転入届 |
届け出先 | 転居前の自治体窓口 転居先の区役所窓口 |
届け出期限 | 【転出届】引っ越し当日の14日前から 【転入届】引っ越し当日から14日以内 |
用意するもの | 転出証明書、本人確認書類(マイナンバーカード、健康保険証、運転免許証、パスポート)、国民健康保険証(お持ちの方のみ)、年金手帳(国民年金第一号保険者のみ)、印鑑、筆記用具 |
最後のパターンは、「大阪市外から大阪市内」グループホームへお引越しする場合です。
この場合は、「転出届」と「転入届」の手続きがそれぞれ必要になります。
順番としては、引っ越し前にお住まいの自治体で「転出届」を提出し、「転出証明書」を受け取って、引っ越し先の自治体で「転入届」を提出します。
「転出届」は、引っ越しの14日前から引っ越し前日まで、「転入届」は引っ越し当日から14日以内に提出するのが一般的な期限となります。
必要な持ち物は、本人確認書類、国民健康保険証(加入者、お持ちの方のみ)です。
市区町村の役所では通常、土日祝・年末年始は「転出・転入」の窓口業務を行っていないため、お仕事や作業後の平日に訪れるようにしましょう。
平日に時間を掛けたくない場合は、マイナポータル(マイナンバーカードのポータルサイト)でオンライン手続きを行うことで、来庁せずに転出が完了する自治体もありますのでチェックしてみてください。
ちなみに、マイナンバーカードによる転出手続きは「特例転出届」と呼ばれる方法になります。
マイナンバーカードによる「特例転出届」では、従来の「転出証明書」は不要になります。
なお、引っ越し先で14日以内に「転入届」を提出しなかった場合は無効となり、再度「転出証明書」の取得が必要になりますのでご注意ください。
お住まいの自治体で「転出」手続きが完了後、引っ越し先の自治体で「転入」の手続きを行いましょう。
「転入届」を提出する際に必要なものは、転出証明書(引っ越し前の自治体で発行されたもの)、本人確認書類、年金手帳(国民年金第1号被保険者のみ)、印鑑、筆記具となります。
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